前回は広告制作のインハウス化を進めるメリットと、インハウス化を行う上で障壁になりがちな問題点をいくつかピックアップして解説しました。そこで、今回はマジワンが依頼を受けてお手伝いをする際に気をつけている点などを踏まえ、インハウス化を進めていく際の注意点とインハウス化のプロセスについて2回に分けて解説していきます。
まず、インハウス化とは何を指すのかという点からお話していきましょう。
インハウス(in-house)を直訳すると「企業内の」や「組織内の」といった意味を持っており、企業の活動を外部の業者などに発注することなく、内製化している状態を指します。そして、広告制作におけるインハウス化とは、広告代理店などを活用せず、自社内で広告の企画や制作、運用管理することを指します。
前回の記事「メリットが多い広告制作のインハウス化を徹底解説! 失敗しないために気をつけるべきことは?」でもお伝えしましたが、社内に広告運用の知識やノウハウが蓄積される、品質管理がしやすい、自社ブランドの育成がしやすくなるといったメリットがある反面、社内で広告制作の人材を育成したり環境を整えたりしなければいけないという点がデメリットです。
メリットだけに着目してインハウス化を推し進めていくと、思わぬ障壁に阻まれてしまう可能性があるため気をつける必要があります。
大前提として“コスト”は大きな課題となるため、経営者や予算管理をできる人と共にひとつひとつ整理しながら進めていくことが重要です。その上で、以下の点に注意しながら準備していくと良いでしょう。
前回の記事でお伝えしたとおり、インハウス化の目的をしっかりと定めることが重要です。
効率化(品質管理、コストダウン、スピードアップ等)が目的か、クリエイティブ能力の向上が目的かなど、まずは方向性をしっかりと定めておく必要があります。
これは組織上の指標と、チーム内のノウハウの指標の両面から検討するのがおすすめです。目指すべき将来のチーム像をイメージし、初期段階でできるだけ具体的に落とし込んでいく作業を行うのがベストかもしれません。
また、同時に「なぜ広告を運用する必要があるのか」、「広告を運用して何を目指すのか」といった部分を社内ですり合わせしておくことも大切です。
一気にインハウス化を進めると社内の人材育成や環境が整わず、現状に比べて制作物のクオリティが下がる可能性があります。そのため、まずは現在の制作物のレベルを把握しましょう。制作物の質を落とさないためには、現状を知ることが重要です。
次に、社内で同レベルの制作物を作ることができるか確認し、そのレベルに到達していないのであれば、外部パートナーを並行運用しながら進めるなど、段階的にランディングさせるのがおすすめです。
例えば、広告の運用プロセスを挙げると以下のようになるかと思います。
上記のリストのうち、まずは企画を社内で行うようにし、素材の制作以降は外部に任せるといった形でパーツ毎に切り分けて委託することも可能です。
インハウス化を進める上で重要なチェックポイントは、予算、ノウハウの蓄積、今後目指していく制作レベル(難易度)です。この辺りをしっかりと整理し、目指しているレベルに到達するまでにかかる時間なども考えておくと良いかもしれません。
最終的なゴールはノウハウを構築して、自社で動き出せることです。ノウハウを構築するためには、まず「自分たちが持っているデータは、どのようなものがあるか」を把握しましょう。
広告のレベルを上げていくとなったとき、まずはこれまでのレスポンスデータとここまでの仮説をしっかりと整理して「現状はどのレベルで行っていたのか」を把握することが大切です。そして、今後レベルを上げていくために必要なデータはどのようなものかを検討すると良いかもしれません。
また、単純なレスポンスデータと広告の表現だけではなく、それ以外の外的要因も計算に入れていくために、今後新たに蓄積していくべきデータを新たに考えていくのもおすすめです。
例えば、マジワンがアドバイザーとして広告代理店さんの新聞広告チェックで伴走させてもらう場合、「出稿日」、「出稿エリア」という一般的な情報に加え、「気温」や「天気」などもデータとして記録したほうが良いとアドバイスをしています。なぜなら商品によって気温の変化に影響を受ける場合があり、実は意外と重要なポイントだったりするからです。
商品特性に合わせ、今後どのようなデータをしっかりと取っていくかを考えることは重要になります。
インハウス化をスムーズに進めていくためには、管理者が重要です。
組織の変革の景観のある方が理想ですが、いない場合は外部パートナーに頼ることも重要です。
ノウハウの構築時に、並走してくれる管理者がいるかどうかで進捗が大きく変わってきます。
外部のパートナーの場合は第三者の目線からチェックしたり、アドバイスしたりしてくれるような人材であると、レベルが下がっているか等の確認をしてもらえるので安心できるかもしれませんね。
また、俯瞰した視点でチェックしていくという点で可能であれば、社内にメンター制度を設けたり、社内で人材同士の交流が活性化できるような環境を整えたりするのもおすすめです。クリエイターを孤立させないよう、一定のレベルでクリエイター同士の交流がある環境が理想と言えます。
このように組織はしっかりと自立させつつも社内のメンバーとして仲間意識を構築するための人事的な施策も重要となります。
インハウス化は、走り始める前にしっかり目的と指標を定め、そこをクリアするために必要な情報収集から始めることが重要なポイントです。現在の社内にどういった人材がいるのか、どのようなレベルの制作物なのか、今までどのようなデータを収集してきて、今後はどういったデータが必要になるのかなど、考えることはたくさんあります。見切り発車してしまうと、失敗につながりかねないため注意しましょう。
以上です。
今回はインハウス化を行う上で気をつけるポイントについてお伝えしてきました。次回は、実際の立ち上げプロセスについて詳しくお伝えしていきたいと考えています。また次回の投稿を楽しみにしていてくださいね。
マジワンは社内制作チームの立ち上げのサポート実績があり、ダイレクトマーケティングのノウハウを十分に持っています。もし、インハウス化に伴う外部パートナー探しでお困りの企業様がいらしたら、気軽にご相談ください。