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[オフライン広告改善]折込チラシは0.2秒が勝負!機能性表示サプリの広告をブラッシュアップ

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前回の折込チラシ調査によるマジワンの考察[2023年]では、昨今のオフライン広告の中でも折込チラシの傾向やメリット・デメリットなどをお伝えさせていただきました。
とはいえ、「傾向はわかったけれど、チラシの中身はどうしたらよいのか?」と課題を抱えられている方も多いのではないでしょうか。そこで、今回はオフライン広告において重要な役割を果たしている折込チラシを有効に活用していくため、テストの重要なポイントである、ブラッシュアップの事例の中で折込チラシのポイントをお伝えしていきたいと思います。

ということで、この【ブラッシュアップシリーズ】は、
「調査などで収集させていただいた折込チラシを、マジワンならどのようにブラッシュアップしていくのか」という特集です。これまでにもチラシを作るときのコツをいくつかお伝えしてきましたが、今回は、よりわかりやすいように事例を踏まえ、「既存チラシのブラッシュアップ」方法に焦点を当ててお伝えしていきます。
ぜひ、折込チラシ作りの参考にしていただければ幸いです。

なお、画像を見ながらお話をさせていただくほうが分かりやすいので、実際の広告を用いて説明していきます。
権利上の問題もありますので、特定の商品だと判断できるような商品名、本文、連絡先等を分からないように実物のチラシを加工させていただきました。その点をご理解ください。

チラシのチェックポイント

A社の広告

今回チェックしていくチラシの企業を、A社としましょう。
A社は、インターネット広告をメインとして大きくなった企業様です。比較的初期の頃から、テレビタレントを活用した広告を行ってきました。オフライン広告だけでなくランディングページにおいても広告の流れは似たような作りになっているのが特徴で、タレントと商品のポイントをシンプルに訴求したものとなっています。

それでは、さっそくチラシを詳しく見ていきましょう。

右上から左下に流れる導線は、理にかなった基本形

A社チラシイメージ図1

右上にあるトップのキャッチから言うと、まず「体重」というわかりやすい訴求ポイントがあり、それに対してすぐ隣で「あります!」と自信を見せています。
さらに隣にタレントが見えて、そのままの流れで左斜め下まで目が行くと論理的な説得として用いられるグラフ。さらに「980円」という価格が見える作りになっています。
このチラシのポイントは、大手企業によく見られる初回価格がお得な価格であることを活かし、右上から左下までを斜めに一直線に走るような目の導線でスピーディに「欲しい!」という感情に進むチラシ構成になっている点です。

以前の記事「高レスポンスを狙うチラシの作り方」でも解説した通り、折込チラシは、朝刊に折り込まれるというメディア特性により“0.2秒”という時間の壁があります。その0.2秒にも特徴があります。
例えば、チラシの見方として0.2秒を1枚ずつ見る人もいれば、角だけを0.2秒見て必要なチラシだけを抜き取るという行動をする方がいるということです。そう考えると、シンプルに右上から左下へと斜めに流れていく導線は、スピーディに理解をしてもらえるという点と、角の部分にポイントを集約できるという点から、消費者の行動からみても理にかなっていると言えますね。

しかし、多くの人がチラシを正面から見るとは限りません。その観点から言うと、A社のチラシのウィークポイントは、左上と右下にあります。左下にちらっと価格が見えるので、価格が見えたときに興味を持つ方はいるかもしれませんが、現状では弱さが否めません。「左上」や「右下」の部分にもっとインパクトの強いコンテンツを置くことで、このチラシを読もうとする絶対数が増える可能性が高まり、スッキリとした導線の良さがさらに際立つのではないかと考えます。

折込チラシで重要なのは“四隅”

A社チラシイメージ図2

オフライン広告のひとつである折込チラシの場合、基本的には“様子見の人”をいかにケアし、取りこぼす隙をなくすかという部分がひとつの課題となります。

A社のチラシでいうと、右上のもったいない部分は「Q」です。クエスチョン・アンサーという意味のQがすぐに理解できれば良いですが、高齢者の中にはこの情報が分かりづらいという方がいるかもしれません。
もっと言うと、左上の企業ロゴは、やはりこれだけだと情報が伝わらないので弱いポイントかもしれませんね。その観点で言うと、企業のロゴだけではなく企業のキャッチコピーを作成してロゴと共に表示にしたり、説得性のあるコンテンツである「グラフ」をもう少し上に配置したほうが良かったかもしれません。

左下のオファーに関しては、アイコンを左側に並べてあるので良いかなと思います。ただ、商品が薄い色なので、もう少し際立たせるために商品背景を白ではなく、このオファー部分を全体と馴染ませずに、あえてもうちょっと目を引くような明るい色にしても良かったかもしれません。それこそ蛍光色のような強い黄色や、黄緑色みたいな色とか…。そういった形でオファーの部分だけ目立たせるという方法もあったのではないかなと思うのです。

そして、最後に右下。実は折込チラシを右下から読む人は少ないと言われています。そのため、最悪は現状のままでも良いかなとは思います。この部分には、「裏面を参照してください」といった文言が入っているので、そこまで問題がないかと思います。

ということで、折込チラシのポイントの一つは「四隅の攻め方」です。

クリエイティブテストのポイント

A社チラシイメージ図3

A社のチラシは、全体のレイアウトがシンプルであるからこそ、細かいクリエイティブテストを1つずつ行うことで着実にレスポンスが上がる可能性が高いと思います。マジワンが推奨する“テストすべきポイント”をトップから見ていきましょう。

まず、トップで言うと、この商品は「機能性表示食品」にあたるため、言葉ブレが法律上認められにくく表現の幅が低いと言えます。そのため、優位性となっている「12週間」という数字と、「体重」というキーワードをいかにバランス良く見せていくかという観点から言うと、Q&Aという方式が良かったかどうかは、テストのポイントとなるかもしれませんね。
あまり言葉ブレができない機能性表示食品だからこそ、大きく答えを見せてしまったほうが良い可能性もあると思います。

それ以外ですと、現在はタレントのスタイルをよく見せるために全身の写真にしていると思うのですが、そうなると、タレントの顔や表情などの良さが伝わりにくい部分が気になります。タレントは顔で認知されているため、顔に寄せたカットのほうがレスポンスは上がる可能性も考えられますね。もちろんスタイルの良さのほうが上がるときもあるのですが、タレントさんを起用する場合は表情が見えたほうが「あ、この人!」と一目見て気がつくため、より分かりやすくなる傾向があります。顔のアップが良いか、全身でスタイルの良さを見せたほうが良いかは、テストしてみたいところです。

そういう意味では、トップの見せ方は組み合わせなどによって、クリエイティブテストをしながら改善していく余地があります。現状の「体重を減らす方法あるの?」「あります」というQ&Aの部分を言いたい内容を詰めてしまって、「12週間で体重を減らす方法をご存じですか?」という問いかけにしたり、もしくは「12週間で体重を減らす方法があります!」と言い切ったりしたほうが、字を大きくできて、タレントさんの表情を見せることができるようになるため改善するかもしれません。

あとは、「体重」と「大好きな食事を我慢せず」という部分が使えるので、食事や体重計のようなビジュアルを左肩に入れてみるという方法もテストポイントになりそうです。いずれにせよ、ビジュアルでもう少し体重減少を標榜表現できるものがあれば、そこもテストポイントになってきたでしょう。

ただ、先ほども登場しましたが機能性表示食品の場合は、言えることが限られてくるのも事実。オーバートークができないので、この中だと“メリハリ”と“ビジュアル”のあたりが一番有効なテストポイントになってくるのではないかと思います。

クリエイティブテストにおける優先順位の考え方

クリエイティブテストは各社で様々な考え方があるとは思いますが、マジワンとしては“リスク”と“リターン”が重要だと考えています。ここでは、マジワンがお手伝いをするなら、どのような順番でテストをしていくかについて解説していきましょう。

初回のテストは、リスクの低い部分でもありますが、小さくても確実に上がりそうな部分からテストを行っていきます。その点から考えますと最初のブラッシュアップポイントは“四隅”。チラシの四隅を丁寧にケアしていき、読み始める人を増やすところからスタートです。

  • グラフの位置を上げて左肩を攻める
  • オファーカラーを目立たせて微増させる
  • キャンペーンが設定されているので、角のどこかに「時間限定要素」を入れ、今すぐ見なくてはといった思考を植え付ける

そして、2回目以降のテストにおいては「上がるか下がるかは不明だけれど、変化幅が大きそうな部分」のテストがおすすめ。マジワンなら、以下の点をテストしていきます。

  • キャッチをまとめてビジュアルを目立たせる
  • ビジュアルを顔アップにする、または体重計を含めた他のビジュアルを加える

タレントとの契約上でできる部分を整理し、可能な組み合わせをいくつか試し、最高値を確認していきたいですね。
下がってしまう可能性もありますが、この組み合わせは大きな改善ポイントになりますので、まずはこの部分をしっかりとクリエイティブテストでチェックしていきます。

それ以降になりますと、さらに他の説得要素(体験談や、権威ある学者や研究者が解説するような権威性のあるコンテンツ等)を入れて高めていくのも良いと思います。

ですが、1つ大きな注意点があります。
それは、目標値と明らかに乖離している等の場合において、訴求部分や大きなレイアウトからテストしなければいけないケースなどです。このようなテストに関する考えは、企業や商品の個別の目標値を含めた、状況判断によって現在やるべきクリエイティブテストは異なります。
上記はあくまでもスタンダードなテストの流れということでお考えください。

今回は以上です。

オフライン広告の中でも折込チラシは、見てもらえる時間が0.2秒と短いため、いかに短時間で選ばれる情報を伝えるかという点に気をつける必要があります。そのためにも、丁寧にチラシのすみずみまでケアしていくことが、レスポンスの改善にとって重要と言えるでしょう。

なお、マジワンではこのような解説コンテンツを増やしていこうと考えています。
もし、気になるチラシがある、このチラシを見てもらいたいという方がいましたら、ぜひ、お問合せフォームからお知らせください。次回は、異なる企業の折込チラシをマジワン目線でブラッシュアップしていきます。楽しみにしていてくださいね。

また別のコンテンツもご覧いただければと思います。

マジワン
この記事を書いた人
福岡のプランニングエージェンシー「マジワン」が運営するLABの管理人。 ダイレクトマーケティングコンサルタント/クリエイティブディレクター/プランナーとダイレクトマーケティングでの長い経験から、幅広くサポートします。 デジタルからオフライン、新規広告からCRM、そして商品開発と新しいアイディアを横断しながら実践しています。売上アップのための仮説と実証を繰り返しながら、マーケティングという社会実験を楽しんでいます。

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