通信販売・ダイレクトマーケティング・D2Cのクリエイティブ研究室

クリエイティブチームのインハウス化における注意点とそのプロセス②

前回の記事「クリエイティブチームのインハウス化における注意点とそのプロセス①」で、広告制作のインハウス化を進めていく際の注意点をお伝えしてきました。
インハウス化の準備段階として、現在の状況や持っている情報を整理し、適切な段階を踏んで移行していくことがポイントでした。

今回は、実際にチームを作り上げていくときのプロセスを解説していきましょう。

クリエイティブチームのインハウス化を進めるプロセス

クリエイティブチームを作り上げていくプロセスは、その企業の状況や目指す方向性、目標によって異なります。
しかし、簡単に、「方向性の違い」というだけではイメージが湧きにくいと思いますので、今回は一例としてマジワンでの実例としてあった「PDCAサイクルを丁寧に回し企画能力を上げる目的でチームを作るなら」という仮定でお伝えしていきましょう。

1.ディレクターの育成を行う

まずは、社内に「ディレクター」(指示系統役)となる人材を育成していきます。
例えば、スタート時は内部の組織はできる限り小さい組織にし、内部はディレクターや簡単なコピーを作れる人材から育成していく感じですね。
そして、デザインなどの制作作業は外部へ委託をおすすめします。

この目的は、将来的な管理者を育成し、組織づくりの準備をすることです。そのためにも、企画を考え、デザインラフを作ったり、コピーを書いたりして制作能力を上げていきましょう。

その際、「クリエイティブチームのインハウス化における注意点とそのプロセス①」でお伝えしたように、外部アドバイザーなどの力を借りて「こういう視点もあるんじゃないか」等のアドバイスをもらいながら育成していくことで、視野の広い人材を作ることができ、効率が上がるケースもあります。

2.部下の育成をしていく

ディレクターが育った段階で、次はデザイナーを入れましょう。
そして、複雑なものはパートナー企業に依頼してもいいので、社内でできることをしっかりと完結できるようにします。まず内部で完結できる仕事を作ることが大事です。
内部でしっかりと作り上げることで指標が生まれますのでそれで仕事量を見える化できることが一つの目的です。

さらに、最初のディレクターがある程度まで育ってきたら、もう1人ディレクターを育てるために部下を配置します。これは“案件の進行管理ができる人材”と、企画から丁寧に考えるための“全体統括する人材”を育てるためです。

インハウス化した際、必ず全体統括と進行管理の2軸が必要になるため、ディレクターは1人ではなく2人以上育てていくことが良いと思います。

すでに全体管理をできるかたがいれば、はじめから案件の進行をできるディレクターを採用するのも良いと思います。しかし、ゼロから立ち上げる場合、コピーライティングやディレクションができる人間から育てていき、その人をさらに上の統括へ引き上げて部下を育てるというのがベターです。

ここで一つポイントですが、デザイナーについては初期段階は派遣会社に依頼をしたほうがいいと考えてます。
なぜスタート時はデザイナーを派遣社員によいのか・・・。
これは、デザイナーを正社員として雇ってしまうと撤退ができなくなるからです。

例えば、他の部署でもデザイナーが役立つ会社であれば問題ありません。しかし、何らかの事情でインハウス化をやめる!となったとき、デザインの仕事がなくなるようでは困ってしまいますよね。また、コピーライティングなどのクリエイターに比べ、デザイナーは機材や設備投資が必要になるため撤退しにくさにつながりかねません。

そのため、一定度の覚悟がない企業さんの場合、まずはディレクターの育成から推奨しています。

3.段階を経ながら、最終的には全体マネジメント能力を備えた組織を目指す

次に、育成したディレクターに部下を付けていきましょう。そして、全体の管理者として育てていきながら、指標を作る人材を育成していくことが重要です。

PDCAサイクルの全体管理ができる体制を整えるのに、早くて1年半、少なくとも2年以上の育成期間が必要になります。もし、育てているのが新卒の社員ならもう少しかかるかもしれませんね。

理想は社内で異動があっても組織が回せるようにすることです。
この管理ノウハウがしっかりと引き継がれていけば、クリエイティブチームのインハウス化が叶うのではないでしょうか。

まとめ

段階を踏んでのインハウス化は、もしかしたら想像していたより長期スパンになるかもしれません。ただ、ゴールとしては、上記のようなことを意識していきながら進めていくと良いでしょう。

なお、この立ち上げ時に伴走してくれる外部パートナーとの良好な関係構築がポイントとなります。
というのも、短期的な指標と長期的な指標の2つを意識して見てくれるからです。

制作会社のようなパートナーだと、どうしても「自社の仕事が減る」というリスクと戦いながら並走することになるためインハウス化の難易度が高くなりがちです。ノウハウがありつつ、ちゃんと並走してくれるパートナーかどうかを見極めることが重要になってきます。

以上です。
今回は、インハウス化のプロセスについてお伝えしてきました。急激にインハウス化を推し進めてしまうと、うまく回らずに失敗したり、無駄にコストがかさんだりしてしまいがちなので注意が必要です。

マジワンは社内制作チームの立ち上げのサポート実績があり、ダイレクトマーケティングのノウハウを十分に持っています。もし、インハウス化に伴う外部パートナー探しでお困りの企業様がいらしたら、気軽にご相談ください。

マジワン
この記事を書いた人
福岡のプランニングエージェンシー「マジワン」が運営するLABの管理人。 ダイレクトマーケティングコンサルタント/クリエイティブディレクター/プランナーとダイレクトマーケティングでの長い経験から、幅広くサポートします。 デジタルからオフライン、新規広告からCRM、そして商品開発と新しいアイディアを横断しながら実践しています。売上アップのための仮説と実証を繰り返しながら、マーケティングという社会実験を楽しんでいます。

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