ダイレクトマーケティングにおいて、ユーザーを購買行動に導いていく目的のための告知物にランディングページ(以下、LP)やチラシがあります。
マジワンでは、この両方ともを制作させていただいたり、PDCAのアドバイスなどをさせていただいたりしております。そのため、私にとっては、どちらも基本的な考え方や作り方の大きな流れは変わらないとかんがえていますが、実はLPとチラシの両方をバランスよく制作する広告代理店や制作プロダクションは少ないそうです。
そのため、広告主様からは「両方の相談ができて助かる」とよく言われるます。ではなぜ、LPとチラシの両方を手がけられるプロダクションは少ないのでしょうか。
今回はその理由を紐解くため、デジタル広告とオフライン広告の類似点と相違点について解説をしていきます。
デジタル広告におけるLP、そして、オフライン広告におけるチラシなどのクリエイティブ、両方とも消費者の行動を理解度や態度に対してひとつずつ作用させ、購買などのアクションへ移せるように促していくという目的は同じです。
そのため、説得に重要な流れも同じです。
それが、以前に解説をしたPASONA(パソナ)です。バナーやクッションページなどを経由するという流れが多少変わりますが、デジタル・オフラインでは全体を通してPASONAの大きな流れや考え方としてはまったく同じといっても過言ではありません。
これまで見聞きしてきた中では、「デジタルとオフラインのノウハウは違う」という方もいますが、それは厳密に言えばターゲットが違ってしまっているケースのみだと考えます。マジワンの実験によると、同じ層のターゲット層になったときには、バナーで当たったコピーを新聞広告に流用しても同じように当たりました。
ターゲットが同じであれば“当たりコピー”はどちらも同じになると考えています。
ここからはデジタル広告とオフライン広告の異なる点を解説していきます。
違いは大きく3点あります。
前述の通り、PASONAを使っていく部分は同じですが、デジタルは広告手法に変化がでてきたため、その使い方が少し変わります。
先程も少し触れましたが、以前はバナーからLPにつないでいく手法だったため、バナーがPの部分になっており、その後のLPでもPASONAを階段状に丁寧に上がるように作っていくのが一般的でした。
そのため、冒頭からPASONAを丁寧に切り出して作っていくLPに当たりページが多かったように思われます。そして、作り込んだLPの中からPやSOを少し切り出した部分でバナーを作っていたのです。
しかし、近年ではバナーとLPの間に、クッションページ(記事ページ)と呼ばれるものを入れたり、アフィリエイターの方が情報ページを挟んだりしてからLPへ誘導するパターンが増えています。その結果、それらのページで既にPASOくらいまでの情報を丁寧に説明してからLPにたどりつくため、逆にLPはSONAから作り込んでいき早めにアクションへと誘導する構成が主流となっています。
LPの冒頭でいったんアクションを起こさせるような導線を作り、もう少し説明が必要な方のために、改めて丁寧にPASONAで作り込んでくといくという形ですね。
ひとつのページでPASONAが完結しているのではなく、複数のページをまたいでPASONAを完結させるようなイメージになります。
そして、その作り方とは反対にオフラインの広告では繋がりがないことが多いので、広告全体でPASONAがしっかりと流れとして存在していることが重要になります。
なお、デジタルとオフラインの大きな違いとして、チラシは少しPに偏っている傾向がありますが、LPはPASONAを丁寧に行うほうが良いと言えます。
それは、説得の事前情報や、広告に接触する人の違いと言えるかもしれませんね。
近年のLPは、動画で表現したり、ボタンを動かしたりできるため、シズル感のある表現が効果的です。
また、Webのほうが情報量を多くすることができるという点が大きな違いではないでしょうか。それに加え、デジタル広告の場合、ユーザーが能動的に行動を起こして次のアクションが生まれます。
そのため、インタラクションがある表現と、その表現でクリックをしたなどの行動のデータ管理が重要になってくるのです。
例えば、バナーからクッションページに何%の人が訪れたのかというリンク情報が得られるため、Pの部分ではどれくらいの動きがあったが、Aでは下がっていたので、この間を手厚くしよう等、PASONAにおいてどの部分を強化していくと良いかがデータで明らかにできます。
一方、紙媒体は映像のような表現や細かいデータ管理はできないというデメリットがありますが、デジタルに比べて表現が絶対的に少ないのか?というと、それも違います。
実は、チラシ広告において最も気を使うべき特徴は紙面を一瞬で見ることができるという点、つまり「レイアウト」が強みとなるポイントと言えます。
LPは縦に長いページをスクロールする印象がある方も多いのではないかと思いますが、しっかりと説得するために情報量を増やして表現しようとすると、どうしても長くなってしまいます。しかも、必ず上から下へと読む仕組みになっているため、作る側がPASONAを意図的にコントロールすることが可能です。
一方、チラシや新聞などは主に規定のサイズというものがあり、情報量が限られてしまいます。そのため情報を厳選し、かつオファーへ効率的につなげる必要があります。しかも、読む人によって少しずつ目の動かし方が異なるため、導線は縦だけでなく横や斜めという可能性もあるのです。
そのため、PASONAを設計したのち、配置によって情報の読ませ方をコントロールする必要があります。
例えば、前回のオフライン広告改善シリーズでお伝えしたように、早く購入したいと考える方にショートカットするように斜めに読ませて、早く決断させるといった技法を使うこともあるわけです。
レイアウトをうまく活用して、見せたい部分を見せていくと、そのままオファーにつながるように各社が工夫をしています。すべての情報がひと目で見られるからこその工夫であり、メディアの違いと言えますね。そういう点で言うと、デジタルのクリエイターがオフライン広告を作成する際に、最も難しいのがこのレイアウトと言えるかもしれません。PASONAを設計することと、レイアウトを工夫して的確に読ませるという技法は別物になるため、まずはこの部分に慣れる必要があるでしょう。
オフラインの中でも、テレビ番組のような体裁であるインフォマーシャルにおいては、よく“枠”という表現を使います。チラシ広告はB4やB3といった紙のサイズが決まっており、それを超えて表現することができません。インフォマーシャルであれば120秒、180秒、29分など枠の時間をはみ出して放送することができません。そのため、情報量に一定の制約があり、言いたいことがあっても情報を絞る必要がでてきます。
それに対し、Webであれば情報量の制限がルールとして存在していません。そのため、例えどれだけ縦に長くなったとしてもすべての情報を伝えることは可能です。また、実際には表示に時間がかかるため難しいですが、すべてを動画にして伝えることも可能ではあります。一方で、WEBにおいては、通信速度の制約を超えてリッチなコンテンツを表示することができないという側面もあります。
そういう意味では、テキストや画像情報であれば言いたいことすべてを伝えられるLPのほうが、クロージングという観点から見ると優秀と言えるでしょう。しかし、クリエイターという観点で言えば、オフライン広告のほうが内容を取捨選択するスキルが上がるため、ひとつひとつの見出しのパワーのようなものを強めることができ、より伝わりやすい広告を作ることができる可能性もあると考えています。
上記のような理由から、LPとチラシのどちらも細かな違いがあり、クリエイターが考えるべきポイントも少しずつ異なっています。しかし、両者にいいところがあるため、それぞれの利点の使い分けを意識することが大切です。
【同じところ】
【異なるところ】
LPとチラシ広告の違いをきちんと理解していれば、クリエイターとしてどちらのメディアを手がけることになっても論点が分かりやすくなります。
また、広告主側の視点として言えば、上記のポイントでしっかりと押さえれば、オフライン広告の限定されたメッセージは、当たりパターンであれば良質なコンテンツである可能性が高いため、クッションページなどに流用すると当たることが多いです。
しかし、LPで当たっていたからといって、そのままチラシへ持っていったところで使えるのかというとそうとは限りません。なぜなら、シズル感のように、動的であることが理由になっていることも多いからです。
そのため、広告主側もデジタル・オフライン両方の違いやメリット・デメリットを理解しておくと、互いの当たりポイントを流用できるような社内体制を作ることができるでしょう。
以上です。
今回の記事を踏まえ、両者の違いをしっかり理解して使い分けていただきたいと思います。また、どちらかのメディア開発で苦しまれているという場合は、その違いを考え、改めて作り方をチューニングしてみると良いかもしれません。それでもお困りの際は、ぜひマジワンにご相談ください。
また別のコンテンツもご覧いただければと思います。