通信販売・ダイレクトマーケティング・D2Cのクリエイティブ研究室

もしかしたら落とし穴?やってはいけないリブランディング[No.2]

前回の記事「もしかしたら落とし穴かも?やってはいけないリブランディング[No.1]」で、ブランディングやリブランディングについて詳しく解説しました。リブランディングを行うことで、その商品やサービスに新しい価値を与え、市場のニーズに合わせることが可能になります。

しかし、どのような状況でリブランディングを行ってもうまくいくのかというと、実はそれも違います。また、近年のリブランドを見ていると、マジワン的には「少し違うかな?」と感じるケースが存在しているのも事実です。

そこで、今回はリブランディングに適切なタイミングとマジワンが感じる「やってはいけないリブランディング」について説明していきます。

■リブランディングの適切なタイミング

リブランディングは、いつでも好きな時に実施して良いというものではありません。タイミングを間違えると逆効果になりかねないため、適切な時期を見極めることも重要と言えます。リブランディングを行いやすいのは、以下のようなタイミングです。

・事業規模を拡大するとき

事業規模が大きくなるとメンバーが増えて互いの価値観にズレが生じたり、複数のプロダクトが立ち上がったことでブランド全体の統一性がなくなったりすることがあります。
そのようなタイミングはリブランディングのチャンスと言えるでしょう。
また、事業が成熟したり、成長の限界に達したと感じたりしたとき、新たな市場開拓やターゲット層を開拓するためにブランドイメージを再構築するのも有効です。

・新製品や新サービスを導入するとき

ビジネス環境が変化したときも大きなチャンスです。
新しい商品やサービスに合わせてブランディングを再構築することで、顧客に付加価値を与えることができます。
また、既存の企業と差別化するためにリブランディングを行うのも有効です。

・自社サービスや商品のニーズが低下したとき

ブランドが古いと感じられるようになってしまったり、顧客の関心を失ってしまったりするとブランドの価値が低下することもあるでしょう。
市場のニーズやトレンド、その企業を取り巻く社会情勢などが変化し、需要とブランドイメージの不一致が生じたときにリブランディングで衰退を防ぐことができます。このとき、目先のメリットに捕らわれず、長期的な視点で根底から見直すのがおすすめですね。

・自社の事業内容が変わるとき

事業の方向性を大きく変えたり、大きな変革があったりした際にブランドの見直しをすると良いケースがあります。

例えば、合併・買収などが原因で複数のブランドがひとつの企業にまとまったが、それぞれのブランドイメージにズレや違和感があるといった場合にも有効です。複数の異なるブランドの基準を統一することで、一貫性のあるブランドイメージの再構築ができます。

・経営者の交代時

事業を長く継続していると、悪い伝統を継承していたり、時間の経過と共に初期のイメージとズレが生じてしまったりすることもあるでしょう。
企業の統合や買収、世代交代などの理由で経営者が交代するタイミングこそ、イメージを一新するチャンスと言えます。時代の変化に合わせたリブランディングを実施することで、市場のニーズにマッチしたブランドへと変化することができます。

■やってはいけないリブランディング

本来のリブランディングは、前回お話した「保健室の先生」と「医大の教授」の違いと同じくらい、大きくブランドイメージを変えるものです。
そのため、ブランディングや自分たちのいるポジション、市場での立ち位置を変えたい、今後やっていくことを変えたいという目的のリブランディングであれば問題がありません。

しかし、「この商品があまり受け入れられなくなってきたね」という安易な気持ちでリブランディングし、新しくやり直そうと言っているわりには中の商品やサービスがあまり変わっていないというケースが存在しています。
マジワンでは、このリブランディングが問題ではないかと考えています。

例えば、保健室の先生であれば「自分のことを、生徒が保健室の○○先生だと認識している」という状態、つまりブランドがしっかりしている状態で次のステージへと進むのが正しいリブランディングと言えます。
そのため、保健室の先生が次のステップとして大学の教授のような権威性のあるポジションを作ろうと考えているとき、「親しみやすさが足かせになってしまうから、新たなポジションを明確にしたい!」という考えでリブランディングしていくなら有効と言えるでしょう。

しかし、レスポンスが少し弱くなったという程度の理由で、保健室の先生が改めて「私は保健室の先生です」ということを生徒に理解してもらおうとし、リテンション程度のニュアンスで行うリブランディングは危険です。

そのリブランディングは「保健室の先生が、大学の教授のような服に着替えただけ」という状態のようなもので、実際のところはあまり意味がありません。従来と同じような商品を、同じような形で販売しているのに、ボトルやパッケージデザイン、ロゴデザインなどを変え、自分たちをより良いものに見せるだけの活動はリブランディングと言えないからです。

リニューアルレベルにもかかわらず、市場で「私たちは変わりましたよ」とアピールする行為は、まるで消費者をだますような活動になってしまっている点が問題と言えます。

しかも、このようなリブランディングの場合、既存の商品に対してすごさや良さを感じて購入してくださっていたユーザーやその商品に接し始めたばかりのユーザーにとって、肩透かしのような状態になり、逆にそのブランドを嫌いになってしまう可能性が考えられます。

リブランディングという名のリテンションで知名度が上がる一方で、自分たちがこうありたいと思っている像とユーザーからの印象が離れてしまい、ブランド離反を起こしかねないのです。
そのため、リブランディングは「やり方を間違えてしまうと、ブランド離反を起こしやすい」という難しい課題も抱えています。

■まとめ

本来であればブランドポジションを再定義してから、ブランドアイデンティティの変更を行い、結果的にコミュニケーションが変わっていくという流れが一般的と言えるでしょう。しかし、ブランドポジションを変更せず、ブランドアイデンティティだけを変更しようとする行為は、洋服だけを着替えたのと同じ“だまし”のようなリブランディングになりがちです。

失敗しがちなリブランディングは、形だけ変化させたのものです。ブランドアイデンティティの部分だけ変更しようとすると、比較的失敗しやすいので注意が必要です。

以上です。
今回は2回に渡って、リブランディングについて詳しく解説してきました。リブランディングは正しく行えば有効ですが、タイミングを間違えたり、見た目を変えただけのリテンションレベルのリブランディングを行ったりすると、せっかく積み重ねてきたブランドの価値を落とす結果につながりかねません。マジワンでは、正しいリブランディングのサポートを行っています。

気になる方は、ぜひ気軽にお問い合わせください。

マジワン
この記事を書いた人
福岡のプランニングエージェンシー「マジワン」が運営するLABの管理人。 ダイレクトマーケティングコンサルタント/クリエイティブディレクター/プランナーとダイレクトマーケティングでの長い経験から、幅広くサポートします。 デジタルからオフライン、新規広告からCRM、そして商品開発と新しいアイディアを横断しながら実践しています。売上アップのための仮説と実証を繰り返しながら、マーケティングという社会実験を楽しんでいます。

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