通信販売・ダイレクトマーケティング・D2Cのクリエイティブ研究室

もしかしたら落とし穴?やってはいけないリブランディング[No.1]

通信販売やダイレクトマーケティングを行っている企業の中には、販売開始から数年が経過して「反応が悪くなってきた気がする」、「最近伸び悩んでいる」といった理由で商品のリブランディングを行うことがあります。
特にスキンケアや医薬部外品など美容分野でリブランディングを見かけるのですが、なかには「このやり方はちょっとどうなのかな?」と感じるようなケースも存在しています。

リブランディングは、その意味や意義を適切に理解し、正しい方法で行わないと、何千万、何億円とかけても「ただデザインを変えただけ」という結果になりかねません。
そこで、今回は2回に分けてリブランディングについて詳しく解説していきたいと思います。

■ブランディングの目的

リブランディングの前に、
まずは、ブランディングとは何かという点から簡単に説明していきましょう。

ブランドディングの語源は、「焼き印」といわれています。自分が所有している家畜(主に牛)に対して独自の焼き印を付け、その焼き印で識別したり、品質を保証したりしていました。そこから派生し、現代ではサービス名、企業名、商品名などの固有の部分を差別化するために、顧客の中に形成されたイメージやストーリーなどの共感価値を最大化させる行動を指すようになっています。

広告、デザイン、マーケティングなど様々な角度から、その企業や製品がユーザーに与える印象、価値を作り出し、他社との差別化を図ります。そのため、ミッションや価値などを明確にし、一貫したメッセージを発信し続けることが重要と言えます。

例えば、具体的なサービス名や商品名を聞いたとき、そのサービスや商品に対してみんなが共通のポジティブな価値を想起でき、それが選択する際の大きなポイントになっていれば、ブランディングが成功していると言えるでしょう。

なお、最近よく耳にする「ブランド価値」と呼ばれるものは、商品の機能的な部分だけでなく、ユーザーがその商品やサービスに対して感じている魅力や満足度から価値を換算する重要な指標となっています。

上記のように「このサービスだから利用してもらえた」、「この商品だから買ってもらえた」といった市場でのゆるぎないポジションがブランドの価値となるわけです。

■ブランド認知度とは

ブランド認知度のイメージ図

上記は当社がトーン&マナーの説明のときに参考資料として用いている資料の一部ですが、
ブランド認知度とは、わかりやすく言うと「ブランドそのものが、ユーザーに知られているか」です。ブランディングしていたとしても、そもそも知られていなければそれは価値を持ちません。そのため、「知られているか」という点がファーストステップになります。

そして、次のポイントは「理解度」です。企業が打ち出したいと思っているイメージ対し、ユーザーが知識を持ち、それを理解して正しく受け止めているかという点です。

【ブランドアイデンティティ】
・理念や哲学といった「企業性」
・身体的や心理的なベネフィットといった「商品性」
・ブランドに対する知識 など

もちろん、ユーザーがそのサービスや商品に対して固有の価値を持ち、ポジティブに思っているという点も重要ですが、企業側とユーザー側の持つイメージが一致していなければブランディングの意味がありません。そのため、双方のイメージが一致するよう、サービス名やサービスロゴ、タイポグラフィーといった意匠の部分を作り上げて、より使いやすいものにしていくことから考えて行う行為が正しいブランディングと言えるでしょう。

■リブランディングとは?

では、リブランディングとはどのようなものでしょうか?

ブランディングの前に、再びという意味を持つ「Re」が付いています。
再びブランディングをする、つまり既存のブランディングを再構築する行為を指します。

そのため、既にブランドが持つイメージポジションやコミュニケーション方法などを再整理していくだけでなく、場合によっては社名やブランド名、ロゴなどを変更してブランドに対する認識を新しくすることもあります。リブランディングすることで、ブランド文脈の時代に合わせた再構築や、それにより市場での競争力を向上できる点がメリットと言えますね。

例えば、保健の先生に対するイメージは、「親しみやすく、ちょっとだけ専門的。ケガをしたり、悩んだりしたときに相談しやすい雰囲気」といったように、ケアできる点に加えて共感性があると受け止めている方が多いのではないでしょうか。
逆に、同じ医療に携わる人間でも医大の教授となると、一般人からしたら「専門家であるが、気軽に相談しにくい雰囲気」がありますよね。保健室の先生と医大の教授を並べること自体が少し違うのかもしれませんが、2つのブランドイメージには大きな差があります。

リブランディングは、保健の先生が医大の教授を目指すくらいポジションやコミュニケーションを変化させるものだと考えてください。

リブランディングの目的は企業によって異なりますが、市場の変化に対応するため、ブランドが陳腐化してしまい衰退傾向にある、ターゲット顧客が変化してきた、M&Aや事業統合・合併などが多いかもしれませんね。

ブランドはこれまで企業として動いてきた成果で培ってきた大切なものであり、市場では信頼につながります。それを脱ぎ捨ててリブランディングするということは、自分たちがいる場所が既に今までとは異なるフェーズになってきていると言えます。

■リブランディングの手法

リブランディングには、様々な種類があります。
以下で、代表的な4つのリブランディング手法をご紹介しましょう。

1.ブランドアーキテクチャの再編

主に、複数のブランドを統合させ、ひとつのより強いブランドにする作業を指します。例えば、複数のサブブランドを持っている企業がそれらをまとめてひとつの統一したメインブランドを打ち出す際や、M&Aによって事業編成が変わった企業がブランドの体系を整理する際に行うことがあります。

2.ブランドポジションの再定義

市場環境や消費者のニーズを分析し、新たな顧客層をターゲットとして取り込むために、ブランドのポジショニングを再定義していく作業です。そのブランドのポジショニングが陳腐化していたり、競合他社との差別化が難しくなったりした場合に有効です。

3.ブランドアイデンティティの再構築

企業の価値観やビジョン、強みを明確にし、ブランドの個性や魅力を再定義していく作業です。既存のロゴやパッケージデザインの変更、ブランドメッセージのリフレッシュ、コンテンツ戦略の見直しなどを行うことがあります。これにより、ブランドの新しい方向性や価値を表現し、ブランドとしての認知度や好感度を向上させることができます。

4.コミュニケーション戦略の変更

ブランドのコミュニケーション戦略に変化を加える作業です。コミュニケーションの種類として「販促戦略」や「広告戦略」、「広報戦略」などがあります。新しいプロモーション活動や広告キャンペーンの展開、デジタルマーケティングの強化、販売チャネルの見直しなどを行うことで、より効果的なメッセージが発信できるようになります。

■まとめ

ブランディングとは、その企業・サービス・商品がユーザーに与える印象や価値を作り出し、他社との差別化を図る作業です。そして、リブランディングとは、既存のブランドが持つ価値やイメージを一新させることで、新たな価値をユーザーに印象づける作業です。

どちらも、その商品やサービスのイメージを作り上げる作業ではありますが、リブランディングを行う際は既に市場でその商品やサービスが持つ認知度や評価が存在しています。それらをどのように活かし、どの部分を変化させていくかという点が重要と言えるでしょう。

しかし、よかれと思って行ったリブランディングが落とし穴となり、ユーザー離反を起こしてしまう可能性もあります。
そこで、次回は「やってはいけないリブランディング」について詳しく解説していきたいと思います。

以上です。
マジワンでは、企業やブランドのリブランディングをサポートしています。事業継承、事業規模の拡大でブランドイメージを変化させたい、市場のニーズと商品のブランディングが乖離してきたなど、お困りの現状を改善したいと考えている企業様は、ぜひマジワンまでご相談ください。

マジワン
この記事を書いた人
福岡のプランニングエージェンシー「マジワン」が運営するLABの管理人。 ダイレクトマーケティングコンサルタント/クリエイティブディレクター/プランナーとダイレクトマーケティングでの長い経験から、幅広くサポートします。 デジタルからオフライン、新規広告からCRM、そして商品開発と新しいアイディアを横断しながら実践しています。売上アップのための仮説と実証を繰り返しながら、マーケティングという社会実験を楽しんでいます。

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