通信販売・ダイレクトマーケティング・D2Cのクリエイティブ研究室

【世代別成功モデル】通販が拡散していったユートピア期

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前回の「通販の歴史」シリーズで、通販のはじまりから現在までの流れをおさらいしてきました。今回は、そこからさらに一歩踏み込んで、どの時代にどのような商法でどのような商品がヒットしたのかなど、その世代に応じた成功のモデルケースを具体的にお話ししていきたいと思います。

なお、タイトルの「ユートピア期」は、私(永瀬)のイメージで作り出した言葉なので一般的に使われているわけではありません。レスポンスの話を諸先輩方から伺い、現在企業様の支援をしている立場から見ると、まるでユートピアのような時代だったのではないかと感じたためです。その当時は未整備な部分も多く、別の意味で大変なことがあったかもしれません。良いところにだけ着目してユートピア期と呼ばせていただいている点はご容赦ください。

今回のテーマを設定した理由

通信販売やD2Cなどにこれから参入しようとする場合、まず「自分たちの成長したいイメージ」を作り、ベンチマークする企業をしっかりと見定めていく必要があります。そして、その企業の分析を行い、自分たちがどのように成長していくべきかを考えていくと良いでしょう。

なかには、「今は順調だが、さまざまな変遷をたどって成長してきた」という企業もあるのではないかと思います。その企業が成長したタイミングで何を行い、どのように成長していったのかを調べることが重要です。さまざまな苦労した部分に着目をせず、成長後のプロモーションなどを見て「これで成長できるなら簡単だ」と思うことは誤りなので気をつけてくださいね。

拡大期と現在とでは販売のやり方などが違っているケースも意外と多く、その企業の歴史を知ることで“何が売れるトリガーとなっていたのか”を知ることができます。そういった過去の事例を調べることで、過去に成功したモデルケースのストックを自分の中に増やしていくことが、成功への近道です。

なお、私自身は2010年以降の状況に詳しいのですが、通販初期に関しては自身で経験をしていません。初期の成功例は、過去にお付き合いのあるお客さまのインタビューを通じて知った情報を整理してお伝えさせていただいています。その点をご了承ください。

面白い商品がどんどん開発されていった通販初期

【通販の歴史】通販に関係する法整備が進んだ時期でご紹介した通り、1970年代は通販事業が拡大していき、法整備が始まったキーとなる時代。ただし、成功モデルと言うには、あまりしっかりとした手法などが確立していなかったのも事実です。メディアの模索期ということもあり、この時期には定型的な「当たりパターン」というのが存在していません。

なお、当時はカタログ通販がメインの企業や、ワンコーナー型のテレビ通販が主流でした。雑誌の裏で健康器具などを販売するスタイルの通販が登場してきたのもこの時代です。雑誌の後半または裏面に広告を出す手法は現在も続いていますが、この頃は量販店などで購入できないような比較的“おもしろい商品”が開発されてハマっていったのが特徴。ただし、その影にはまったく売れずに消えていった商品も数多くあります。

バブル期の購買力が後押しした成長

80年代からはスキンケア・ストッキングなどのコンプレックス商材が増えていきます。
多くの企業がテレビCMを多用するようになり、通販会社のCMをよく見かけるようになりました。なお、景表法がまだきちんとした形で存在していなかったため、現代のルールでは許されないレベルの強さの広告が存在していた時代でもあります。

この頃はテレビでMR(メディアレーション)を高めに獲得し、さらにカタログで購買させるスタイルでした。そのため、あまり指標というものが存在していない時代であったのではないかと推察されます。当時はMR 2~3以上が当たり前のように取れたという情報もあるので、“広告を出せば売れる”という時代でした。

MRが1を切るのが当たり前という現代と比較すると、過去を知らない人にとっては驚くような数値ではないかと思います。一発当たると、そこからは出せば出すほど売れるという感じで、加速度的に売上が伸びていくようなイメージです。ただし、どのような商品でも当たっていたわけではなく、勝者と敗者がはっきりと分かれており、当たると一気にグイグイと伸びていく感じだったと言われています。

なお、1980年後半から1900年初期は日本がバブル景気だったこともあり、消費者の購買力が高い時期です。この時代の「当たり」には、バブル期という時代的な後押しもあったのではないかと推測されます。

以上です。
今回は、世代別成功モデルの第1弾として、通販が拡散しはじめた初期の成功についてお伝えしました。次回は、1990年以降の成功モデルについてお伝えしていく予定です。
また別のコンテンツもご覧いただければと思います。

※MRとは
メディアレーション(Media Ration)の略。初回売上に対する広告の費用対効果を測る指標。MRが1に近い、もしくは上回っているほど広告の費用対効果が高いと言えます。

マジワン
この記事を書いた人
福岡のプランニングエージェンシー「マジワン」が運営するLABの管理人。 ダイレクトマーケティングコンサルタント/クリエイティブディレクター/プランナーとダイレクトマーケティングでの長い経験から、幅広くサポートします。 デジタルからオフライン、新規広告からCRM、そして商品開発と新しいアイディアを横断しながら実践しています。売上アップのための仮説と実証を繰り返しながら、マーケティングという社会実験を楽しんでいます。

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