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【通販の歴史】EC市場の拡大と大ヒット商品の誕生

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前回は通販に関連する法整備とその背景についてお伝えしましたが、今回は1980年から2000年にかけての通販の歴史とその背景についてお伝えしていきたいと思います。この時期はEC市場が拡大していき、数々のヒット商品が生まれていった時期でもあります。

通販の認知度が高まり、大手カタログ通販が台頭

1980~90年にかけて、オフラインメディアである新聞やテレビが徐々に活動を広げていきました。また、カタログ通販の仕組み化がされていき、セシール(現、ディノス・セシール)が売上高トップとして長いこと君臨。ニッセンや千趣会、ムトウ(現、スクロール)などの大手通販も台頭しています。この頃から「通販=怪しいもの」という認識がようやく変化していき、洋服や雑貨だけでなく健康食品のニーズが高まっていきました。

しかし1995年頃からさらに大きく変化していきます。この時期が通販業界にとってのターニングポイントといっても過言ではありません。では、1995年以降にどのような変化が起こったのでしょうか。

EC市場が広がっていった

前述の通り、通販にとって大きなターニングポイントとなったのは1995年です。
まず、3月にYahoo.com、7月にはAmazon.comがアメリカでオープンしました。また、日本でも11月にMicrosoft Windows95が発売を開始し、一般家庭におけるパソコンやインターネットの普及率が一気にアップします。その結果、徐々に国内におけるEC市場の拡大と新興企業が台頭してきたのです。

以降、日本国内では1996年にヤフー株式会社、1998年にアマゾンジャパン株式会社が設立。また、1997年には出店型のECモール「楽天市場」がオープンしました。さらに1999年に自社のホームページにショッピングカート機能を組み込むことができる株式会社Eストアーのサービス「ストアツール」の提供が開始されたことにより、大手企業に限らず中小企業でも自社ECサイトが簡単に作れるようになります。こうした状況の変化により、日本国内で加速度的にネット通販が主流となっていき、カタログ通販業界が苦戦を強いられるようになっていきました。

なお、この頃から通販のシステムが整ってきたこともあり、顧客分析などが行われるようになっていきます。

通販から数々のヒット商品が生まれる

2000年代に入ると、アパレル系の通販が台頭。ユニクロやユナイテッドアローズなどの大手アパレルメーカーが自社ECを開始しました。ZOZOTOWNがアパレル販売を始めたのも同じ頃です。
また、サントリー「セサミン」のような健康食品が大ヒットするなど、ネット通販が急速に拡大していきます。サントリー以外の大手製薬会社も、通販市場にどんどん参入していきました。

2001年9月にブロードバンド総合サービス「Yahoo! BB」がサービスの提供を開始。通信に必要なADSLモデムを無料配布したため、一気に利用者が増えていきます。当時はNTTの公衆交換電話網を使用した従量制課金のダイヤルアップ接続が主流でしたが、このサービスにより高速な常時接続が可能になりました。高速回線が一般家庭に普及しはじめたこともネット通販の追い風になったのかもしれませんね。

なお、インフォマーシャルも含めて、健康に対する意識とそれに関する食品偽装などの問題がでてきたことから、この時代にさらに法整備が行われました。2002年8月に特保などの健康に関する法律「健康増進法」が交付。2003年には「景品表示法」の改正が行われ、「不実証広告規制」が導入されています。

今までのテレビや新聞といった均質的なマスメディアから、ECなどのインターネットを中心としたメディアへと広がっていく流れがこの時代の大きな特徴です。インターネットは従来のような枠にとらわれない方式のメディアになるため、この頃から広告枠というものの考え方が変わり、細分化していくことになりました。そして、現代のアフィリエイトのような販売方法や、各種SNSの対応のようなソーシャルメディアを使ったマーケティングへとつながっていったのです。現在のインターネットを使ったマーケティング手法の原点となっているのがこの時代と言えるでしょう。

以上です。
今回は、通販の歴史シリーズ第4弾として、1980年から2000年代前半までの通販の大きな変化とその背景についてお伝えしました。次回は、2000年代後半に起こった通販の変化についてお伝えしていく予定です。
また別のコンテンツもご覧いただければと思います。

マジワン
この記事を書いた人
福岡のプランニングエージェンシー「マジワン」が運営するLABの管理人。 ダイレクトマーケティングコンサルタント/クリエイティブディレクター/プランナーとダイレクトマーケティングでの長い経験から、幅広くサポートします。 デジタルからオフライン、新規広告からCRM、そして商品開発と新しいアイディアを横断しながら実践しています。売上アップのための仮説と実証を繰り返しながら、マーケティングという社会実験を楽しんでいます。

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