前回の「クッションページってどういうもの?その役割とメリット」では、クッションページが増加傾向にある理由、そしてクッションページが持つ役割やメリットをお伝えしました。ランディングページ(以下、LP)へ誘導する際に、クッションページを挟むことで、顕在層だけでなく潜在層にもアプローチができるという利点がありましたよね。
では、実際に運用するうえで、どのようにクッションページを作り込んでいくのが良いのでしょうか。実はクッションページにはいくつかのパターンがあり、それぞれに特徴があります。そこで、今回はクッションページの種類とその特徴を詳しくお話していきたいと思います。
記事タイプとは、その名の通り記事と写真や説明用の図版を用いて構成するものです。コラムなどの記事が主体になっており、そこに写真をはりつつ、商品やサービスに付随する情報を説明していくといった形式のクッションページになります。
この手のタイプのメリットは、なんといっても修正がしやすいという点です。近年では「HTMLのコーディングはできない」という人でも比較的簡単に編集できるWordPressのようなCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)が増えていますよね。
そういったツールを使えば、Wordなどで書類を作るような感覚で文字を打ち込んだり画像を貼り付けたりするだけで手軽に編集ができます。Web制作の知識がなくてもページを作ることができるため、多くの広告代理店ではそういったツールを使って編集しているケースが多いでしょう。
なお、この記事タイプには「ライターコラム型」と「一般コラム型」の2種類がよく見受けられます。
読者に読み込ませるため、少し口語体のような書き方を加えながら共感を深めていく書き方です。
一人称で体験談などを織り交ぜながら書いていくことで、比較的読んでいる人が入り込みやすいように作り込むことができます。
法令に対するメッセージの強さのコントロールがしやすく、ビフォーアフターなどのビジュアルを使う、PASONAの流れのなかで徐々にテンションを上げていくといったことも可能です。もし主観型の記事が書けるようであれば、最初にチャレンジしてみてほしいのはこのライターコラム型になります。
ライター型が少し個性の強い記事であるのに対し、一般コラムは編集部が書きましたというような丁寧な文体になります。
雑誌などの編集部的な立ち位置で書かれるため、ライター型に比べて「私が」といったキャラ立ちのようなものはありません。ライター型と違って共感性を高めることは難しいですが、逆に第三者的な立ち位置で公共性を高めていくようなアプローチが可能です。また、実験的なアプローチがしやすいので、「丁寧だからこそ、すごいな」と思わせるような書き方もできます。
この辺りは商品力の強さや広告主のスタンスなどで書き分けていくことができるでしょう。
アンケートに答えてもらいながら、コラムを読ませるスタイルのクッションページになります。アンケートにひとつ回答するたびに、関連するコラムが表示されて情報を発信していくようなイメージです。
右の図は一例となりますが、このような睡眠のサプリであれば、「あなたの平均睡眠時間は何時間ですか?」といった質問をし、回答すると「本当は〇時間程度が良いです」といった睡眠に関するコラムを提示しながら説得に寄与していきます。
このクッションページのポイントは、「参加している」と感じさせる点です。せっかく参加したからメリットを享受したいという気持ちを揺さぶり、最終的にはアンケートに参加した人だけお得になるといった流れで作られているものが多い傾向にあります。アンケートに回答することで参加意識が出るため、コンバージョン率というよりも、クッションページからの遷移率が良いと言われています。
アンケートタイプはターゲットを広く取ることができるため、大手メーカーさんにおいてはファーストチョイスになり得ると思います。
とりわけ、ここ数年は景品表示法が厳しくなってきているので、体験談がNGな化粧品などの商品を取り扱っているのであればこういったバリエーションもひとつ持っておくと良いかもしれませんね。
マンガタイプはその名の通り、マンガを使って作るクッションページです。
ライター型コラムの派生形だと考えてください。主観かつ共感させる説得の流れをマンガによって見せていきます。文字が多いだけで嫌悪感を示す方がいるので、絵柄が多いマンガなら読み始めやすいという意味では非常に優秀なコンテンツと言えるでしょう。
ただし、デメリットとして「修正がしにくい」という点が挙げられます。文字だけなら差し替えは可能ですが、それでもブログのように簡単にはできません。画像としてできあがったものを書き換える必要がありますので、イラストレーターやデザイナーがいないと修正できず、修正コストが高くなってしまいがちです。そのため、ライター型コラムなどで成功事例ができてから、その流れを使って派生として作るのがもっともよいステップであると考えています。
次にご紹介するのは、上記のような基本的なもの以外になります。飛び道具的な亜種タイプと言ってもいいでしょう。
クッションページの目的はLPへの遷移、つまりLPへ飛んでいただくことが一番重要な部分です。この目的のためにどの部分で説得するかというのが非常に重要になるわけですが、ここまでに紹介してきたタイプはどちらかというとPASONAの流れに沿い、悩みの理解と、商品の良さを理解するまで丁寧に説得していく流れは同じでした。しかし、この亜種タイプはちょっと雰囲気が異なり「そんなに良いものなら、ちょっと見にいってみよう」と思わせるのが特徴です。
記事タイプの派生形ではありますが、「タレントの〇〇が使っていてバカ売れ!」であったり、ワンタイムオファーで「この広告を見た人だけ、今日の〇時までの特別価格」といった形でカウントダウンが始まり、クッションページではあまり説明せず2~3スクロールくらいでLPへ誘導するようなスタイルです。
今買わないとといった感情をあおるようなものが多く、希少性を理解した上で飛んでくるので、LPを読み始めやすいというメリットがあります。
ただし、この手法は一時的なもので、あまり長期的に使えるタイプではありません。そのため、安売りをしたいとか、かけこみ需要を狙いたいといったタイミングで使うと良いかもしれません。
その名の通り、ランキングサイトのような雰囲気をテキストベースで表現したクッションページです。メディアによって基準が違うので、その確認が重要となります。ランキングサイトにおいては、以前のように簡単なアンケートなどで作ることは難しく、しっかりとしたエビデンスを持って作ることが必要となってきておりますが、しっかりと作り込んでいればクッションページとして強い力を発揮すると言えます。
ただし、上記のも記載した通り作り込む際に景表法の基準をしっかりと守っていることが大切です。
ステマ法案の規制が始まる前は、ランキングサイトの運営会社が記事タイプも運営しているというケースもよく見られたので、優秀な手段のひとつかなという気はします。今回の法案に適した形でしっかりと作り込んだランキング型のサイトであれば、コラム型と別軸で運用してみるのも良いかと思います。
アンケート型の派生タイプとして、一時期よく見かけたクッションページです。
ユーザーにクイズ形式で回答してもらうスタイルになります。アンケートのように自分のことを聞かれているのではなく、正しいものはどれでしょうという形になるため、市場が難解なものであればハマる可能性はあります。ただし、本来の通販商品はわかりやすいものが売れる傾向にあるため、そこまで流行しなかったイメージです。理解して欲しい新規成分などがあるとき、質問形式で進めるというのも良いかもしれません。
漢方のサイトや肌診断などで見かけますが、セルフチェック型のコンテンツです。診断によってプッシュする商品を変えることができるため、複数の商品を持っているようであれば、診断というコンテンツ名が参加意欲を上げる可能性はあります。
以上です。
今回はベーシックなスタイルである記事タイプだけでなく、その他のクッションページについてもご紹介しました。
年始にアップした「どうなる?2024年のダイレクトマーケティング[徹底予測]」でもお伝えしましたが、デジタル広告が主流になってくるとクッションページのエンタメ化が進む可能性があります。その結果、クッションページのバリエーションが今よりも広がっていくかもしれません。ぜひ、今回ご紹介したクッションページのバリエーションから、自社に最適なものを選択していってください。
それでは、また別のコンテンツもご覧いただければと思います。