近年はAIの進化が著しく、ChatGPTのように言語感覚に優れたチャットAIや指定した画像を新たに生み出す生成AIなどが登場しています。すでにチャットAIをブレストパートナーや、コピーライティングのアシストで活用している企業が増えてきているのも事実です。
そこで、今回はAIの現状、チャットAIなどを使ってみた感覚を踏まえ、今後クリエイターがどのようにAIと接していったらいいのか、そしてAIに仕事を奪われてしまうのではないかという疑問について、マジワンなりの視点でお伝えしていきたいと思います。
結論から言うと、おそらくクリエイターがAIに仕事を完全に奪われることはないでしょう。
ただし、AIの介入によってトップクラスのクリエイターと、それ以外のクリエイターの収入差が開いていくのではないかと推測されます。
最近、ネット上で「AIが作り出したテキストには間違いがある」という指摘がよく出ています。
しかし、それは一部のマニアックな情報について生成した場合に限られているように見受けられます。引き出そうとした情報がマニアックであるが故に、拾ってくる情報に間違いがあり、変わった回答をしてしまっている可能性が高いです。
一方で、現状のAIは、普遍的な部分の日本語能力、的を射たアイディアや考察をスピーディーにアウトプットしてくれるという観点で非常に優秀だと言えます。私の印象として、大学卒業クラスの言語能力や情報処理能力があるかもしれませんね。
ただ、この優秀さ怖いところは、日本語の使い方が怪しければ読む側も「この情報は怪しいかも」と猜疑的な気持ちで読み進めるのですが、正しく丁寧な日本語で書かれていると誤情報だと疑わずに読み進めてしまう可能性があるという点です。実際のところ、AIがアウトプットした情報に間違った内容が含まれているケースもあるため、使う側に多少のコツが必要かもしれません。
ということで、うまくAIを活用していくうえで気をつけることについて考えていきましょう。
先ほど「AIを使う側にコツが必要である」とお伝えしましたが、AIとうまく付き合っていくために人間が高めるべき能力のひとつが「見抜く力」です。
もしAIが誤情報を出してきたとしても、それを確認する人間側が正誤を見抜くことさえできれば問題ありません。
(このチェック機構も、のちのちAIで登場する可能性が高いですが・・・)
なお、現時点で、マジワンはAIをブレストパートナーとして使いつつ、情報に抜け漏れがないかを確認するためや、アイディアの引き出しを確認するためのアプローチとして使っています。
そこで、以下でマジワンがAIを利用する際に気をつけているポイントを紹介していきます。
大きく分けると
1つ目は「事実として正しいか?」
2つ目は、「主張として正しいか?」
3つ目は「社会的に正しいか?」
という3つです。それぞれを詳しく見ていきましょう。
文中に疑わしいポイントが出てきたとき、まずAIに対してそのエビデンスを問いましょう。
例えば、「〇〇の質問に対して××という回答を出したが、これに関する参考文献や論文はありますか?」といった形で必ずソースを確認することが大切です。参考文献などを読むことで、事実確認ができます。また、クイズのように正誤を答えてもらうような形で情報を集める場合も、あくまでも参考意見として収集することをおすすめします。
AIが出してきたリンクが間違っている、内容が異なった論文を出してくるケースもありますが、しっかり出してもらえるように正しく指示することが大切です。
特に業界情報のようにマニアックなものになるほど、精度が低くなる傾向があります。そのため、現状のレベルだとアイディアフラッシュとして利用するのがより良い使い方かもしれませんね。
AIは、レトリックと言われるような日本語的な修辞、相手を説得させるための表現技法にまだまだ弱いです。
また、擬音にも弱い傾向があります。そのため、ボディーコピーなら作成できるかもしれませんが、新しいキャッチコピーを開発するのは厳しいでしょう。
消費者のインサイトに合わせて的確にアウトプットできるようになるまでには、もう少し進化が必要なようです。
なお、マジワンでも新しい方向性の示唆を出せるレベルとして使えるような質問方法をいろいろ試してみましたが、今のところベストな方法を見つけることができていません。
そのため、今後伸びてくる商品、今後出てくる新しい表現、広告に行き詰まりを感じたときに新しいアイディアを出すような使い方は厳しいと考えています。当面、方針決めは人間が行い、仮説としてのアウトプットを行うのがAIの作業となるのではないでしょうか。
現状のチャットAIでは、最新の法令に合わせることが難しいのではないかと考えています。
そのため、表現が適法であるか、オーバートークになっていないかを、しっかりと自分の目で確認する必要があります。なぜなら、薬機法や景品表示法に準じているのか等、きちんと精査しないと法令違反の文言を使うことになりかねないからです。
つまり、チャットAIのおかげでアウトプットが簡単になった反面、大量にアウトプットされたものが大量のリスクを生み出しているとも言えるでしょう。これらのリスクを軽減するためには、人間側がそれらをチェックして本当に社会的に正しい情報になっているかを判断しなければなりません。
そう考えると、今後は適切なチェック体制を作っていくことも大切です。今後のクリエイターに求められるのは、リスク面をチェックすることと、大量な情報の中から一番良いものをチョイスできるスキルになるかもしれませんね。
今までのダイレクトマーケティングに関わるクリエイターは、PASONAに沿ったコピーを書く能力が求められていました。
しかし、今後は情報を整理し、コンセプト通りに置いていくといった上位レイヤーの発想が重要になってくる可能性が高いです。
つまり、適切な指示をAIに出して効率化できるクリエイターほど、様々なアイディアを出したり、作業量をこなしたりできる可能性はありますが、今後は言語化能力を含めたコンセプチュアルな能力が非常に重要になってくると言えるでしょう。
いまAIが生み出しているものは「脳の言語処理を拡張」しているように感じるかもしれませんが、実際は偶発的にAIによって生み出されてくる言葉を、クリエイターがどれだけ面白いと感じて使っていくのかという「創造性の拡張」という側面もあるのではないかと感じています。
そして、もしかするとクリエイターが新しく生み出した言葉よりも、受け手の感性が過去に戻ってAIが出してきた言葉に感動するかもしれません。
そういう観点で今後のクリエイティビティを考えてくと、AIによって言葉がたくさん生まれてくるなかで、クリエイターがどのように取捨選択していくのかが重要になるでしょう。
また、我々が新卒の頃は「たくさん書いて、言語を産み出しながら選ぶ」と教えられ、言語能力を鍛えてきました。
しかし、今後のクリエイターはAIが大量に産みだしてしまうことになるので「どう選び、どう当てはめていくのか」に重きを置く手法に変わってくることが考えられます。
産みの苦しみではなく、選ぶ苦しみとなるかもしれません。
その結果、もしかしたら今後のクリエイター教育の方向性が変わってくる可能性も考えられます。
ただし、“選ぶだけ”という作業は、クリエイターの創造性を拡張していくことができるのか疑問ではあります。そう考えると、当面は今まで通り「クリエイター自身で言葉を産みだしていく」という作業を行うほうが良いのかもしれません。そうすることで、狙いがわかり、しっかりと相手に伝えられるようになり、その結果として自分で選ぶことができるようになるはずだと考えています。
今回は以上です。
今回は、AIの現状やマジワンがチャットAIなどを使ってみた感覚を踏まえて、今後クリエイターがどのようにAIと接していったら良いかをマジワンなりの視点でお伝えしてきました。
なお、この情報は2024年5月現在のものとなります。今後のAIの発展により、情報が変わってくる可能性がありますのでご了承ください。
また別のコンテンツもご覧いただければと思います。