通信販売・ダイレクトマーケティング・D2Cのクリエイティブ研究室

【世代別成功モデル】アフィリエイトビジネスの拡大による規制強化と今後の成功モデル予測

【世代別成功モデル】アフィリエイトビジネスの拡大による規制強化と今後の成功モデル予測

前回のコラム【世代別成功モデル】アフィリエイトサービスと定期コースの組み合わせがEC成功事例を量産した時期では、初回定期コースとアフィリエイトをうまく組み合わせて急成長した企業が増えてきたことや、アフィリエイターによる不当表示のトラブルをお伝えしました。今回はアフィリエイトビジネスの増加によって生じてきた別の問題を深掘りしていきたいと思います。

アフィリエイトビジネスの成長による問題点

まず、2018年頃にGoogleのSEOアルゴリズムが大きく変更されました。粗製乱造の記事が増えてしまったことと、記事を書いているのは個人ですが、宣伝している物は企業の商品という情報の信憑性が低いアフィリエイトサイトが増えたことが原因です。前回のコラムでも少し話をさせていただきましたが、個人のアフィリエイターが書いた記事が不当表示だった場合、そのアフィリエイト記事に書いてあることに対する責任を誰が持つのかといった問題が生じてきたのです。その結果、アフィリエイトサイトへの規制へと繋がりました。

2021年に、アフィリエイトサイトで紹介されていた育毛剤商品の商品説明において、優良誤認表示があったとして措置命令が行われています。商品が実際の物より著しく優良であるように示されていたことで、消費者庁から広告主である企業が指導を受けたのです。

その後2022年、特定商取引法(以下、特商法)が大きく改正されています。このとき改正された通販に関係する大きなポイントをご紹介しましょう。

  1. 定期購入商法への対策
    定期購入なのに、定期購入ではないように誤認させる表示に対して罰則が設けられ、消費者は取り消しができるようになりました。また、その他の消費者を誤認させるような表示が禁止となっています。例えば「送信する」が「契約申し込み」のボタンだったといった手法です。有償の商品やサービスの申し込みであることが明確にわかるように表示をしなければいけません。

    また、通販サイト上でいくつかの項目に表示義務が設けられています。
    (分量、販売価格及び対価、支払の時期、支払方法、引渡しや提供期間、申込期間がある場合はその旨とその内容、申し込みの撤回や解除に関する事項など)

  2. 送付商法への対策
    売買契約が成立していないにも関わらず送付された商品は、消費者側で直ちに処分が可能となりました。(改正前は14日間保管した後でなければ処分できなかった)

  3. 消費者保護に資する規定の整備
    クーリング・オフが電子メールなど電磁的方法でできるようになった、事業者が送付しなければならない契約書を消費者が承諾すれば電磁的方法で送付できるようになったなど、消費者の利便性が高まりました。また、クーリング・オフの際に「解約するためには残りの期間の支払いが必要」、「商品を使い続けなければ悪い結果につながる」などといった不実告知の規制も新設されています。

また、景品表示法も過去複数回に渡って改正されています。アフィリエイトと初回定期購入を組み合わせた仕組みは、消費者を置いてきぼりにしてしまったような印象を与える問題点が浮き上がらせ、結果的に事業者の規制が厳格化されたのです。

近年の当たりパターン

これまで解説してきた多くの成功モデルが流行り、そして廃れていく中で、現在はそれぞれのいいところを上手に活かすような形で、第2世代、第3世代、第4世代と、それぞれの時代の当たり企業が残ってきている状況です。さまざまなパターンで成功してきた企業が、それぞれの体制を作っていますが「この当たりパターンが絶対」というわけでもなく、違いをうまく理解して使っていかなければいけなくなってきています。

なお、第4世代前半でアフィリエイトによって急成長した企業は、法改正で規制されて締まったことにより、それらの手法が使いにくくなりました。しかし、まだアフィリエイトを上手に使っている企業は、伸び続けている傾向があります。

それ以外の当たりパターンで言うと、例えば今まで通販会社のCMに出なかったようなタレントをうまく活用し、テレビで上手にブランディングして検索誘導ができている会社が増えたように思われます。ブランディングの部分と新規顧客獲得のポイントが密接に絡んできているようです。

これらのことから、メディアの活用方法の再設計が必要な時代になってきたと言えるでしょう。

通販ビジネスの今後の成功モデル推測

私個人としては、今後は通販のモデルそのものを見直ししたほうが良いと感じています。通販に限らず、消費者が買いやすいところで買えば良いのではないでしょうか。例えば、コンビニやドラッグストアでも良いと思うのです。

これからは、現在のリピート通販モデルから変化していく時期です。今までのノウハウを上手に融合させることがポイントとなってきています。

オフラインではこれくらいのスコアが取れていた、取れる可能性が高い。
デジタルはこういう風に使える、アフィリエイトではこれぐらい取れる、SNSはこういう風に使える。

そういった、これまでに蓄積してきたノウハウを融合することで、新しい通販の形ができあがっている途中なのかもしれません。ちょうど移行期にあたるため、デジタル広告と、アフィリエイトも一部活用しながら拡大していくことが望ましいでしょう。

今後どのように変化していくのかという流れを捉えながら、自分たちがどうあるのか、企業にとって軸となる「商品エビデンス」、「ストーリー」、「ブランド」など、ブレないところを作る必要がありjます。正攻法とも言えますが、中小企業も「景表法に則したエビデンスを取得する手法」でしっかりと初期段階から整備しなくては戦えない状況となっているのが現在の通販ビジネスであると言っても過言ではありません。

今後は、このようなビジネスの方向性をまとめる形の発信もさせていただこうと思います。

今回のまとめ

  • アフィリエイトビジネスの拡大により、事業者への規制が厳格化された
  • 通販はその時代に応じた当たりパターンを作りながら成長してきた
  • 今後は過去に蓄積したノウハウを融合させ、新しい通販の形を整えていくことが重要
  • 初期の段階で景表法に則したエビデンスを取得することが必須

以上です。
これで全7回に渡った「世代別成功モデルシリーズ」を終了します。
現在はアフィリエイト期が継続されている時代ですが、次の時代を迎えるにあたり従来の成功パターンを融合させながら自分の企業にあうような仕組みを作っていくことが大切です。これからの成功パターン予測も、いつか書いてみたいと考えています。
また別のコンテンツもご覧いただければと思います。

優良誤認表示とは
商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあるもの(景品表示法5条1号)

マジワン
この記事を書いた人
福岡のプランニングエージェンシー「マジワン」が運営するLABの管理人。 ダイレクトマーケティングコンサルタント/クリエイティブディレクター/プランナーとダイレクトマーケティングでの長い経験から、幅広くサポートします。 デジタルからオフライン、新規広告からCRM、そして商品開発と新しいアイディアを横断しながら実践しています。売上アップのための仮説と実証を繰り返しながら、マーケティングという社会実験を楽しんでいます。

お問い合わせはこちら