前回のコラム【世代別成功モデル】九州エリアの通販事業拡大とCRMのはじまりでは、1990年代頃から九州を中心に通販事業が非常にさかんになり、CRMの考え方が生まれた経緯などをお伝えしました。今回のテーマは第2世代(2000年代前半)、定期コースが定着してきた頃の成功モデルをお伝えしていきます。
第2世代の大きな着目点は、以下の2点です。
まず、リピート通販において、定期コースができたことが、大きな発明といえます。第1世代の後期くらいから定期コースというものが登場していましたが、第2世代に入りしっかりと定着してきた印象があります。初回に本品を購入してもらい、定期コースへの誘導を行い、定期購入をしっかりと定着させることで企業が成長していきました。定期購入の導入により、コスメ界のビックプレイヤーが台頭してきています。
そして、ふたつ目にCRMの重要度がより増してきた印象があります。
広告等の制作物をCRMで丁寧に引き上げるフローが定着していきました。例えば、健康食品は実感値や体験談を連続して提示していけば比較的スムーズに伝わりやすい傾向があります。それに対し、化粧品は女性の憧れ(ブランディング)や、エモーショナルな部分をフォローするような制作物が必要になります。高齢者×サプリメントで使われる、人情味あふれるようなエモーショナルではなく、ブランド性のようなものをどのように表現していくかという「エモーショナルコントロール」の考え方が少しずつ出てきました。
化粧品のCRMがしっかり定着してきたということは、理知的なツールと、エモーショナルなツールが両立しはじめている証拠。ブランディングとダイレクトマーケティングの関係は“別である”という方もいますが、マジワンでは以前からお伝えしている通り“基本的には融合する”と考えています。その部分のはしりが、化粧品通販における定期コースのはじまりだったのかもしれませんね。
インフォマーシャルを使ったBtoCで成功する企業が増えはじめました。当時、景品表示法や薬事法(現在の薬機法)などの法令はあったものの、まだまだ現在ほど厳しくはない状況です。そのため、さまざまな手法でアピールする企業が多く、成功につながりやすかったのかもしれません。
成功事例が増えてきた結果、テレビ局では29分という長尺の枠が増えていきました。インフォマーシャルの枠は、BSが登場までの間に、増加から飽和へと向かっていった、といえるでしょう。
この時代は、MRが0.8~1くらいになり、ユートピア期と比べて厳しくなってきています。そのため、MRだけでなく、定期転換率が重要視されはじめました。
このくらいの時期からECが動きはじめていますが、まだマスメディアの受け皿的な位置づけが強かったようです。ただし、テレビのバイイングが厳しくはなってきていたため、その他のメディアもかなり重要になっていました。
2000年代中頃になると新規購入率が下がりはじめ、定期コースへの誘導をしっかりとしていく経営方針に切り替わった企業が増えていきます。当時はまだMRで見ている会社もありましたが、MRは0.6~1くらいで、定期転換で回収していくという事業モデルが増えていきました。
その背景には、メディアやルールが確立してきたことがあります。ルールが整備されてくると、結果的に効率が少しずつ落ちてくることが多いです。しかし、そのような中でもしっかりとリストを運用していった結果、定期コースを増やしていくスタイルがベストな手法になっていったのではないかと考えられています。
以上です。
これより前の時代は、年に2~3回ほどリストに宛てて大型カタログを送り、まとめ買いを促すような企業が多かった印象がありました。しかし、第2世代で定期コースを導入しはじめたことにより、Recency(頻度)を上げていくような手法に重きを置くようになってきたのではないかと思われます。
次回の【世代別成功モデル】は、大手メーカーが通販に参入しはじめた2000年後半、第3世代に焦点を当てていく予定です。また別のコンテンツもご覧いただければと思います。