前回は「ブランディングとセールスコピーの関係」についてお話させていただきました。ブランディングをしていく上で、ブランドアイデンティティーの統一は大きな課題です。今回は、トーン&マナーの重要性と作り方についてお伝えしていきたいと思います。
トーン&マナーとは、広告物やデザインなどから醸し出される雰囲気などの「表現基調」を指します。文章のトーン&マナーもほぼ同じ考え方で、「論調や言葉の扱い方に関するルール」を規定することです。
デザインならば、キーカラーや使用する色のトーンとバリエーション。
ブランドらしさを感じるフォントや、空間の使い方。
メッセンジャーとして、どこまで人を露出させるのかなど。
コピーライトならば、文体(です・ます調/だ・である調)をどうするか。
ブランド自体やお客さまのことをなんと呼ぶのか。(私、私たち、あなた、お客さまなど)
やさしい言葉づかいをするか、カタカナや英語を多くするかなど
これらのデザインや言葉のひとつひとつが、すべてブランドイメージにつながっていきます。
ブランディングをしていく際に、複数の人間が携わるとブランドアイデンティティーの一貫性が保たれなくなってしまうことがあります。一貫性が保たれていないということは、使われているツールや、その場面によってブランドイメージが変わってしまうという意味です。
誰が作業したとしても、「自分たちのブランドがどのように見られたいのか」というイメージを統一できるようにルール化していくためにはトーン&マナーが必要になってきます。
トーン&マナーを決めるには、ターゲットの悩みの把握だけでなく、ペルソナについてもしっかりと定めていきましょう。まずはターゲットの価値観を見極め、どのような情報を求めたデモグラフィックターゲットなのかを整理していくことが大切です。
次に、現状で打ち出したいブランドの認知、ブランドイメージ、狙うポジションなどが消費者の受け止め方と乖離しないように整理していきます。無理な変化はよくありませんが、イメージの変化が求められるケースもあるかもしれません。そのような点もしっかりと検討していくとよいでしょう。
上記の作業により想定するターゲットとのブランドの価値観をすり合わせ、コンセプト、メッセージ、トーン&マナーを策定していきます。そうすることにより、ターゲットが求める情報やブランドの価値を伝えていくことが可能になります。
なお、企業によっては既存顧客向けと新規顧客向けで、あえてトーン&マナーの作り方を変えることがあります。例えば、新規顧客には、獲得したいターゲットへのメッセージと短期的な価値の提示を行います。それに対し、既存顧客に対してはフォロー施策。既存顧客とコミュニケーションステップを構築し、階段を登るように、共に歩んでいくような存在であることを位置づけていきます。より高いレベルに向かうため、長期的なキズナの形成をしていくためのトーン&マナーを定めるのです。
なお、同送・同梱チラシにおいては、肌悩みなどを解消の最重要訴求要素とするため積極的なブランドイメージ訴求は行いません。逆に、ブランドイメージを損なわないよう「NGな領域」に配慮するようにするとよいでしょう。
以上です。
今回は、「トーン&マナーの重要性と作り方」についてお話させていただきました。
また別のコンテンツもご覧いただければと思います。